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2011年5月18日水曜日

動くはずのものが動かないとき、あなたならどうする?

うなりながら読んでしまいました。WSJ日本版、「福島第1原発、事故直後の新事実が明らかに―WSJ分析」という記事。東電内部資料を元に、地震直後から福島第一原発内がどんな状況だったのかを分析しています。
そのとき重大な判断ミスが発生していた。作業員は当初、発電所の非常用電源がほとんど機能していないことに気付いておらず、復旧の時間はもっとあると勘違いしていたことが調査で明らかになった。
システム屋としては色々考えさせられる状況です。障害を想定して代替手段を用意する。しかも念には念を入れて冗長化 させておく。当然、定期的にこれらの交代系の試験や運用訓練も行われていたことでしょう。そして現実にこの非常用電源が稼働する事態になれば、まずはその非常用電源に頼った判断をするはずです。
16日に公開された文書によると、東電作業員は、全部ではないとしても、ほとんどの予備電源が津波で機能不全に陥ったと今は考えている。だが、当時はそれが分からなかった。彼らは予備電源は依然機能しており、8時間の猶予があると考えていた。
動くはずのものが動かない。当然、それが動くと想定して組まれていた各種手順も無駄になります。そのことを「判断を間違えた」「想定していた手順を捨てて、別の手段をとるべきだった」と批判することは簡単です。例えばこんな具合に。
システムの信頼性を上げるために様々な工夫をすればするほど、私達はその信頼性に依存するようになります。例えば「99.9%動作が保証されている手段」に頼らなければならない非常時に、0.1%側に賭ける人はいないでしょう。

私は原発を肯定するものではありませんが、当時福島第一原発で業務に関わっていた方々の判断と行動は尊重します。
 福島第1原発のシフト・マネジャーは、最初にバルブに挑戦するのは自分の責任だと考えた。関係者によると、彼は「俺が行く」と言った。 
 彼は完全防護服を着用し、マスクと酸素ボンベも身につけた。そうまでしても、彼が戻ったときには放射線レベルは106.3ミリシーベルトに達していたという。この数値は、日本で放射線を扱う職場で、1年間に認められている値の2倍だった。1年間で一般の人が浴びる量と比較すると、100倍以上だった。

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